古文書に頻出する用言(動詞・形容詞・助動詞)の活用形
*連用形・・用言に連なるときの形。 *連体形・・体言(名詞・代名詞・副詞)に連なる形。*「候(そうろう)」は、動詞。つまり用言だから下に「候」が下にあれば、活用は連用形。*「旨」「由」「筈」「事」などは、普通名詞。つまり体言だから、下に体言があれば活用は連体形。
1.ラ行変格動詞「有(あ)り」
【あら(未然)・あり(連用)・あり(終止)・ある(連体)・あれ(已然)・あれ(命令)】
①有之候 これ(あり)候 ②有之旨 これ(ある)旨 ③有之由 これ(ある)由
2.ラ行変格動詞「居(お)り」
【おら(未然)・おり(連用)・おり(終止)・おる(連体)・おれ(已然)・おれ(命令)】
①住居候得者 住ひ(おり)候えば ②住居由 住ひ(おる)由 ③住居筈 住ひ(おる)筈
3.助動詞「度(た)し」・・動詞の連用形に付く
【たく(未然)・たく(連用)・たし(終止)・たき(連体)・たけれ(已然)】
①受度候 受け(たく)候 ②受度候得共 受け(たく)候え共 ③受度由 受け(たき)由
4.形容詞「無(な)し」
【なく・(未然)・なく(連用)・なし(終止)・なき・(連体)・なけれ(已然)・なかれ(命令)】
①無之候 これ(なく)候 ②無之候而者 これ(なく)候ては ③無之由 これ(なき)由
5.形容詞「難(かた・~がた)し」・・動詞の連用形に付く。
【かたく(未然)・かたく(連用)・かたし(終止)・かたき(連体)・かたけれ(已然)】
①難受候得者 受け(がたく)候えば ②難受旨 受け(がたき)旨 ③難受(がたき)事
6.助動詞「まじ」・・動詞の終止形(ラ変動詞には連体形)に付く。
【まじく(未然)・まじく(連用)・まじ(終止)・まじき(連体)・まじけれ(已然)】
①受間敷候而者 受く(まじく)候ては ②受間敷旨 受く(まじき)旨
④有之間敷候 これ(ある)(まじく)候 ⑤有之間敷旨 これ(ある)(まじき)旨
7.助動詞「可(べし)」・・動詞の終止形(ラ変動詞には連体形)に付く。
【べく(未然)・べく(連用)・べし(終止)・べき(連体)・べけれ(已然)】
①可受候 受く(べく)候 ②可受候得共 受く(べく)候え共 ③可受旨 受く(べき)旨④可有之候得者 これ(ある)(べく)候えば ⑤可有之由 これ(ある)(べき)由