◎2006年4月22日、北海道開拓の村会員研修会で発表したものです。

生涯学習時代とボランティア(1)


◎はじめに
私は、全国博物館ボランティア研究協議会に参加させていただきました。その報告かたがた、私なりに勉強したことを、「生涯学習時代とボランティア」と題したテーマでお話したいと思います。

・昨年12月5~6日、国立科学博物館を主会場として開催された「第6回全国博物館ボランティア研究協議会」(以下全国会議といいます)に中島学芸員とともに参加しました。
1日目は、午前中に基調講演、午後から「テーマ別分科会」があり、私は「地域や学校と博物館をつなぐボランティア活動」に参加しました。
2日目の「館種別分科会」は、神奈川県立歴史博物館を会場にした「歴史系博物館分科会」に参加しました。
この分科会で、特に指名され、開拓の村ボランティアの活動を発言しました。他の博物館ボランティアの会の報告や発言を聞きましても、「北海道開拓の村ボランティアの会」が全国の博物館ボランティアの中で、先進的な活動をしていることを実感しました。
・そのことは、手前味噌の感想ではなく、例えば、国立科学博物館教育ボランティア推進室長の石川昇氏は、ネット版の「生涯学習研究E辞典」の「博物館とボランティア」の項で、「博物館におけるボランティアの導入の現状」について次のように記述していることからも明らかだと思います。
石川氏によりますと、「一般公募によるボランティア導入は、1974年、北九州立美術館が最初で、各地の美術館へ波及。美術館以外の博物館では、1974年上野動物園でボランティア団体が発足、歴史博物館では(と、項目をたて)1987年=昭和62年、『北海道開拓の村』でボランティアが展示解説、警察の制服を着て解説を演示したのを皮切りに、美術館以外にも、また、展示解説以外の活動にもボランティア活動が導入され、その後、さまざまな活動が開発されるようになった」と述べています。私は、改めて、開拓の村ボランティアが、全国の先進ボランティア組織であることを実感しました。
現在、博物館におけるボランティアの導入は、1117登録博物館・同相当施設中で331館(約28%)、4243博物館類似施設中543館(約13%)が導入しています。
また、「ボランティアの導入の背景」として*(資料1を読む)

さて、全国会議で、私は、国立少年の家理事長の松下倶(とも)子(こ)氏の「生涯学習時代とボランティア」と題して基調講演がとても勉強になりました。松下氏は、長年、文部科学省の「生涯学習」政策に関わってこられた方で、現在文部科学大臣の諮問機関・中教審(中央教育審議会)の生涯学習分科会の副分科会長を務めておられます。(資料2)
それだけに、松下氏の講演は、「生涯学習」や「ボランティア活動」についての政策的変遷や方向を知ることができました。その基調講演をもとに、お話しを進めたいと思います。
 
1.「生涯学習時代」とは・・21世紀は「生涯学習を構築する時代」といわれています。
◎去る4月13日、自民・公明が「教育基本法」の改正案で合意し、「与党教育基本法改正に関する協議会」最終報告が発表されました。報道は「愛国心」に関することが中心でしたが、実は、この改正案に、「生涯学習」が追加されることが盛り込まれています。「生涯学習の理念」という項目を掲げ「国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図らなければならない」としています。この自公改正案が、教育基本法改正案に、あえて、生涯学習の項目を起すことに関して、「現行の教育基本法にも、『教育の目的は、あらゆる教育の機会に、あらゆる場所において実現されなければならない』とあり、現行法でも、今にも十分通用する豊かな中身を持っている」として疑問を投げかける声もでていますが、「生涯学習」が教育の根幹のひとつとして、無視できないものになっている時代だと思いました。(資料3)
◎また、国連も、21世紀の最初の年である2001年を「ボランティア国際年」としました。
◎昭和56年 中央教育審議会(中教審)答申「生涯教育について」・・「生涯教育」の本格的な取り組みが始まります。
◎臨時教育審議会(臨教審。昭和59~62年)最終答申(昭和62年8月)・・学習者の視点から課題を検討する立場を明確にするため、「生涯教育」の言葉に替わり「生涯学習」の言葉を用いて、学習者の立場を尊重する「生涯学習社会の実現」を提唱しました。(資料4)
答申は、今後のあるべき教育改革の視点として
1)個性重視
2)生涯学習体系への移行
3)社会の変化(情報化、国際化)への対応
を強調しました。
◎昭和63年、文部省の「社会教育局」が「生涯学習局」に改組再編された。

2.「生涯学習」と「ボランティア」の出会い
◎昭和64年、井上裕(ゆたか)文部大臣諮問意見のなかで、「ボランティア活動の支援・推進」が挙げられました。
◎平成2年1月中教審答申「生涯学習の基盤整備について」
「生涯学習は、学校や社会の中で意図的・組織的な学習活動として行われるだけでなく、人々のスポーツ活動、文化活動、趣味、レクリエーション、ボランティア活動などの中でも行われるものである」として、生涯学習とボランティア活動を結びつけました。
◎平成2年6月施行の「生涯学習振興法」に基づき、「生涯学習審議会」設置。
◎平成4年 生涯学習審議会答申「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」(資料5)
・ボランティア活動の基本理念(キーワード)
自発(自由意志)性、無償(無給)性、公共(公益)性、先駆(開発・発展)性
・生涯学習とボランティア活動の関連の3つの視点
1) ボランティア活動そのものが自己開発、自己実現につながる生涯学習となるという視点
2) ボランティア活動を行うために必要な知識・技術を習得するための生涯学
習があり、学習の成果を生かし深める実践としてボランティア活動があるという視点
3)人々の生涯学習を支援するボランティア活動が、生涯学習を盛んにするという視点 があげられます。
◎答申に基づく取り組み
①「全国生涯学習フェスティバル」(「学びピア」)の開催
 平成元年、第1回千葉市:テーマ「愛したいのは 新しい自分」
 平成7年、第7回札幌市:「まなびでひらく北のふるさと」
 今年第17回鳥取市:
 (主なテーマ=キャッチフレーズ紹介)=(資料6)
②地方自治体の審議会、担当部局の設置
<北海道>(資料7)
・平成2年 「北海道生涯学習推進本部」設置。
・平成3年 「北海道生涯学習審議会」設置
・平成13年 「北海道立生涯学習推進センター」設置
          「道民カレッジ」開始
<札幌市>(資料8)
・平成10年、「生涯学習部」設置。
・平成12年、札幌市生涯学習総合センター(ちえりあ)オープン
      「さっぽろ市民カレッジ」開講
③地方自治体で「生涯学習都市宣言」(平成16年現在全国で170市町村。現在道内では札幌市を含め13自治体)
 北海道初は真狩村(昭和56年)、「生涯学習の村宣言」全国3番目
④昭和58年放送大学設置、昭和60より放送による授業開始。