生涯学習とボランティア(2)

3.生涯学習社会を築くために、取り組むべき課題の一つ:「ボランティア活動の支援・推進」
◎沿革と課題への取り組みの経過
・明治後半のセツルメント運動・・弱者救済、篤志家の奉仕活動と見られた。(米騒動、関東大震災・・東大セツルメントなど学生セツルメント運動)(資料9)
・昭和40年前後から「ボランティア」という言葉が普及し始め、ボランティアによる活動を支援するための組織作りが始められた。
・昭和46年、社会教育審議会答申のなかで、「民間人の意欲的なボランティア活動」が評価された。
・昭和60年代以降、ボランティア活動の分野は、社会福祉のほか、自然環境保護、教育、文化、スポーツ、学術研究、開発途上国や在日外国人への支援・国際交流・協力、人権擁護、保健・医療、まちづくり活動、災害救助活動
など、多岐にわたり広がっている。

4.生涯学習の成果を生かすボランティア活動
◎平成11年生涯学習審議会答申「学習の成果を幅広く生かす」(資料10)
・「個人が学習成果を活用して社会で自己実現を図る場として最も緊要な課題となっているキャリア(職業・職歴ばかりでなく社会的な活動歴をも含む)開発、ボランティア活動、地域社会での活動の振興方策を考察・提言」した。
学習成果を
1) 個人のキャリア開発に生かす。
・勤労者の自己啓発意欲の高まり。
・女性は自己実現を図ることに意義を認める人が増えています。
・高齢者が定年後の生きがいを求める傾向が、仕事ばかりでなく、ボランティア活動など社会活動への参加意欲も高い。
2)ボランティア活動に生かす
近年のボランティアを志向する社会の進展を、「他者のため、社会・公共のため積極的に自分を役立ちたいとする意欲が高まっている」と指摘し、「国民一人一人が自己責任と信頼を基調とする自覚・自立した意識に基づいてボランティアの活動に積極的に関わっていくことが求められる」と記しています。
また、実際に活動しようとすれば、活動にかかわる分野の知識や技術の習得のための学習が必要なものであり、また、ボランティア活動に参加することによって、必然的にさらなる学習に発展することになるなど、生涯学習ボランティア活動は密接な関係にある。ボランティア活動の促進と生涯学習の推進とは実質的に切り離すことができない関係にある」述べ、「ボランティア活動は、学習成果を生かし、体験的にその成果を深める実践の場そのものである」と、生涯学習とボランティア活動の相互関係を定式化しています。
そして、行政として、「人々のあらゆる場における学習活動を振興することが必要であり、学習によって得た知識や技術などの成果を積極的にボランティア活動に生かすことができるようなシステムの構築が求められている」としています。
◎この指摘は、指定管理者・開拓の村と開拓の村ボランティアの関係にも当てはめることができると思います。今年度、年度当初から通年「研修」の設定、各種研修グループの立ち上げ・活動は、その具現であると思います。
3) 地域社会の発展に生かす
・答申はまた、「単に学ぶばかりでなく、学んで得た知識や技術を地域社会の発展や地域の人々のために活用したいとする人たちが増えている」と述べ、「より深い喜びや充実感を得るため、しかるべき学習の後、多くの人々の前でその学習の成果を披露し、また、他の人のために指導やアドバイスをしたりする機会を持とうとする傾向が強くなっている。学習を通じて何らかの形で社会につながり、社会的な事業に参画したい、できれば社会のために貢献したいとする人々の意欲が高まってきている」として、生涯学習の行政も「学習機会の提供のみならず学習成果の活用の促進も、重視されなければならない」と指摘しています。開拓の村に関していえば、今年度から、ボランティアの会の「会員研究発表会」や、今年度導入の「会員研究レポート」の奨励が、それを具体化した先進例といえるでしょう。

5.「生涯学習ボランティア」の活動
・社会教育施設ボランティアの活動、つまり、実践と研修と連携とが、博物館で、図書館で、青少年教育施設で、日々、強められています。
・「ボランティアコーディネーター」の導入による資格制度、「全国V(ボラン)ネット」、「V(ボラン)ネットセミナー」の開催
・「Hands One」・・一度だけの人生を多くの人々のために・・を合言
葉に、誰からも強制されることのない、活動が広がっています。

6.広がり、高度化するボランティア活動の課題
◎平成14年2月、河合隼(はや)雄(お)文化庁長官は就任挨拶の中で「文化ボランティアの推進」を強調し、「文化ボランティア」と言う言葉を使いました。
「博物館ボランティア」は、この「文化ボランティア」の1ジャンルになると思います。 (資料11)
◎今後の課題
~「甘え」、「驕り」は許されない時代に~
・「ボランティアは、自ら積極的に人生を楽しみ、親しむとともに、一度だけの人生を多くの人々のために、他人のお手伝いもしたい」という機運が高まっているなかで、ボランティアは、「単に技術だけでなく、ボランタリーなこころもって」活動することがなによりも求められています。
① 受け入れ側・・職員全員の共通理解の学習が必要で、「何のためにボランティア制度を導入するか」を明確にすることが大事です。
② ボランティア側・・活動する場が与えられたことに感謝するという謙虚な気持ちが大切で、ボランティア活動は、一部の人の参加ではなく、多くの国民が、ボランティア活動に参加する状況(H15年には、前年比105%の779万人)のもとで、「私は、自己犠牲でボランティアをやっている」とか「善意の施しとしてやっている」という「甘え」、「驕り」、「選良」意識、は許されない時代に入りつつあります。
◎ボランティア活動のもつ社会的責任
・平成11年の「生涯学習審議会」答申では、「ボランティア活動は、本来、志さえあれば誰にでもできるものである。しかし、ボランティア活動が無償の、他人や社会に貢献しようとする行為であるとはいえ、それが社会的な活動であるかぎりは、ボランティア活動に対する責任・義務について自覚を持って参加するという意識を醸成していくことが大切になってきている。そのために重要なのは、志や熱意ばかりでなく、受け手(開拓の村でいえば来村者)の気持ちへの配慮、活動を支える知識・技術の獲得や仲間との協調性であり、そうした学習も大切になる」と指摘しています。

◎「ボランティアの評価」の段階に
充実したボランティア活動を行うためには、
① 第一義的に活動に自己評価が重要。ボランティア活動が、自分のためにも行うものでもある以上、何が身に着いたか、何が足りなかったかなど自分で評価することが基本です。
② 受け手側の評価も、次の活動の改善につなげるために重要です。
③ 社会的評価も、一層の自覚・意欲の向上にとって有効です。今年度、当ボランティアの会が「北海道博物館協会表彰」されるそうですが、これも「社会的評価」といえるのではないでしょうか。
◎おわりに
・現在、中教審では、「青少年のボランティアを育てる努力」「青少年にボランティア体験の機会を」が議論されています。青少年のボランティアについては、現在、災害、環境などへの参加が進められていますが、さらに、文化ボランティアへの発展が期待されています。その意味で、開拓の村で、「こどもボランティア」の導入の計画は、注目されるのではないかと思います。
・昨年6月の中教審第49回総会では、「生涯学習はゼロ歳児からはじまるという視点が必要」と指摘され、7月の中教審生涯学習分科会で、湯川れい子委員
が、「新生児を親の心臓の音からすぐ切り離して別室に連れて行ってしまうとか、泣いても抱っこしてもらえない、ミルクをもらう場合も声をかけてもらえない、・・人間を人間として育てるという上でものすごく欠落している部分で、ここの部分に視点を合わせない限り、大きくなって人間とコミュニケートする力を持たせるかと言っても大変に無理だ」と発言しています。そうこうことが論議されています。
実践も、理論も、日々、進んでいることを実感しました。

私は、ボランティア活動の実のひとりですが、今回、「生涯学習論」「ボランティア論」を勉強する機会を得ました。自らの活動を整理するよい機会にもなりました。学んだことを、今後の活動に生かしたいと思っています。私は、北海道開拓の村ボランティアとして、一層の研鑽を深めたいと思います。