教育漢字
◎現行の教育漢字は、小学校学習指導要領(平成14年4月1日から施行)の「第2章各教科第1節国語」の「別表の学年別漢字配当表」にある1006字である。なお「教育漢字」という表現はないが、ここでは、通常用いられている「教育漢字」という。
◎不正確な教育漢字の定義
・多くの書物で「教育漢字」についての記述では「小学校で学習する漢字」といしている。「漢語林」(大修館書店)では「小学校六年間に学習する漢字」とし、新刊の「新潮日本語漢字辞典」(新潮社)は、「小学校で教える漢字」としている。
◎配当表の漢字は、読めるようになる学年
・指導要領には、例えば、「第2学年においては,学年別漢字配当表の第2学年までに配当されている漢字を読むこと。また,第1学年に配当されている漢字を書き,文や文章の中で使うとともに,第2学年に配当されている漢字を漸次書くようにすること」とある。つまり、配当表の漢字の配当は、読めるようになる学年で、書く学習は次の学年ということになる。
・では、6学年ではどうなるか。指導要領では、「第5学年及び第6学年の各学年においては,学年別漢字配当表の当該学年までに配当されている漢字を読むこと。また,当該学年の前の学年までに配当されている漢字を書き,文や文章の中で使うとともに,当該学年に配当されている漢字を漸次書くようにすること。」とある。6学年に配当されている漢字を書くのは、中学1年ということになる。
◎中学校学習指導要領の表現
○読むこと
・第1学年・・「小学校学習指導要領第2章第1節国語の学年別漢字配当表(以下「学年別漢字配当表」という。)に示されている漢字に加え,その他の常用漢字のうち 250字程度から 300字程度までの漢字を読むこと。」
・第2学年・・「 第1学年までに学習した常用漢字に加え,その他の常用漢字のうち 300字程度から 350字程度までの漢字を読むこと。」
・第3学年・・「第2学年までに学習した常用漢字に加え,その他の常用漢字の大体を読むこと。」
○書くこと
・第1学年・・「学年別漢字配当表の漢字のうち 900字程度の漢字を書き,文や文章の中で使うこと。」
・第2学年・・「学年別漢字配当表の漢字のうち 950字程度の漢字を書き,文や文章の中で使うこと。」
・第3学年・・「学年別漢字配当表に示されている漢字を書き,文や文章の中で使うこと。」
つまり、1006字の教育漢字全部を書くことは、中学3年までにできるようにするということ。ちなみに、中学1年では、900字、2年で950字。
◎まとめ
教育漢字は、「小学校で学習する漢字」ではなく、「広辞苑」にある「義務教育期間に読み書きできるように指導することが必要であるとされる漢字」が正しい表現といえる。