【「牙」を何画とするのか】

文化庁の諮問機関である文化審議会国語分科会漢字小委員会は、先に、常用漢字表(注1)の「本表に入れる可能性の高い漢字」として新たに、188字を候補に挙げた。
そのひとつに「牙」がある。
常用漢字に加える場合、何画にするのだろうか。
<現在の表外漢字としての「牙」は4画>
現在、常用漢字になっていない漢字(以下、表外漢字)としての「牙」は、4画である。つまり、2画目の「ノ」と「一」を一気に1画で書く。
<「牙」を含む常用漢字の「牙」は、5画>
ところが、「牙」を含む常用漢字(注2)の画数は、1画増えた。つまり、2画目を二つに分解した。「ノ」と「一」を1画で書かず、2画に書くようになった。「当用漢字字体表」で画数が増えた数少ない例である。
たとえば、「芽」の脚部分の「牙」は4画から5画になった。その他、「雅」「邪」の「牙」の部分が5画になった。同様に「旡」(すでのつくり)部の「既」の旁が、4画の「旡」から、5画になった。
<「牙」を何画にするべきか>
愚見は、「牙」を常用漢字に加える場合、私は、現在の表外漢字のまま、4画にすべきで、「芽」のように、5画にすべきでない。
獣の牙は、するどく尖っており、旧字体こそ、お似合いだ。
だから、当然ながら、「芽」「雅」「邪」「既」の「牙」も、5画から4画に戻すべきだ。
<「牙」を5画とする弊害>
現在、表外漢字の「冴(さ)える」、「穿(うが)つ」、「訝(いぶか)る」、「谺(こだま)」、「鴉(からす)」の「牙」は、4画であり、もし、「牙」を4画から1画増やし5画とすると、これらの表外漢字と「牙」の画数が異なることになり、「牙」をめぐる混乱が解消されないことになる。

(注1)昭和56年10月1日内閣告示第1号で告示された。これに伴い、旧当用漢字表は廃止された。
(注2)正確には、昭和24年(1949)4月28日、内閣告示第1号で告示された「当用漢字字体表」の漢字。