「包」の中の「己」と「巳」について

①部首は、「勹(ほう)」の部。構えになったときは、「つつみがまえ」と呼ぶ。
②「包」は、常用漢字(新字体)になって構えの中が「巳」から「己」に変わった。
③常用漢字に採用されて「巳」が「己」に変わった字・・起、港、選、遷(遷都など)、抱、、泡(あわ)、砲、胞、飽(飽食など)
③常用漢字に採用されていないので「巳」のままの字・・匏(ひさご)、咆(ほ)える、枹(ばち)、疱(ほう。疱瘡など)、祀(まつ)る。鉋(かんな)、雹(ひょう)、鞄(かばん)、巷(ちまた)、撰(撰者、撰集など)、巽(たつみ)、庖(庖丁など)、炮(あぶ)る、鮑(あわび)など。
④常用漢字も旧字体も「己」のままの字・・改、忌、紀、配、妃、記。
⑤旧字体は「卩」であったが、「己」に変わった字・・巻、圏 。

*解字(文字の成り立ちを解明すること)を考えると、「包」の「勹」の中は、「己」でなく、「巳」であるべきである。
理由・・①「包」の解字は、「からだのできかけた胎児(巳)を子宮膜のなかにつつんでみごもるさまを描いたもの」(『漢字源』)
②「巳は胎児の象形。音符の勹は、人が腕をのばして、抱えこんでいるいる形にかたどり、つつむの意味。みごもるさまから、一般に、つつむの意味をあらわす」(『漢語林』
③「己は、屈曲して目立つ目じるしの形を描いたもの。はっと注意をよびおこす意を含む。人から呼ばれてはっと起立する者の意から、おのれを意味するようになった」(『漢字源』)