(古く版木(はんぎ)に梓(あずさ)の木を用いたところから)
文字などを版木に刻むこと。また、書物を出版すること。上木。梓(あずさ)に上(のぼ)す。上板。(『日本国語大辞典』)
出版することを、「梓行(シコウ)」という。
梓は、のうせんかずら科の樹木で、建築木工の材料として重宝される。だから、大工、建具師のことを「梓匠(シショウ)」ともいう。
「梓」の右の「辛」は、鋭い刃物の象形で、切る意味をあらわす。「梓」は、「木+辛」で、刃物で切ったり刻んだりするのに適した木の意。木工に用いる木なので、農家の傍には桑と梓とを植える定めであった。それで故郷を桑梓(そうし)という。