森勇二のブログ(古文書学習を中心に)

私は、近世史を学んでいます。古文書解読にも取り組んでいます。いろいろ学んだことをアップしたい思います。このブログは、主として、私が事務局を担当している札幌歴史懇話会の参加者の古文書学習の参考にすることが目的の一つです。

2014年03月

4月『ふなをさ日記』学習の注

(32-2)「合羽(かっぱ)」・・ポルトガル語capa。「合羽」はあて字。防寒コート。ジャパンナレッジ版『日本国語大辞典』の「合羽」の語誌には、

 <(1)ポルトガル人の伝えた毛織物のcapa を戦国武将たちは外衣として珍重した。厚手で防水性があり、ヨーロッパのすぐれた技術で染色された鮮明な緋色、黄、黒色が特に愛好された。

(2)「合羽」と当て字され、その形態が日本化されて、「雨合羽」「道中合羽」など、材質も桐油紙や木綿が用いられ庶民層にまで広がった。日本で工夫されたものに、袖をつけた袖合羽、桐油紙製袖なしの坊主合羽、袖つき桐油紙製の豆蔵合羽、木綿製の引廻し、等々がある。>とある。

(32-2)「小安貝(こやすがい)」・・タカラガイ科の巻き貝の異名。特に、大形のハチジョウダカラをさすことが多い。形が卵形で色が美しく妊婦のお守りとされ、また、古代には貨幣としても用いた。

*『竹取物語』で、かぐや姫が求婚者の1人に、ツバメの腹にもつこの貝を所望するのはよく知られている。子安貝ともいうので、安産や育児に伴う呪物(じゅぶつ)とされ、また蔵骨器(ぞうこつき)に入っていた例も鹿児島県伊佐(いさ)市など数例あることから、生命力の再生を願う呪具としての観念もあったらしい。柳田国男は『海上の道』(1961)でこの貝の重要性を指摘しているが、アジア、アフリカ、アメリカの先住民族は先史時代からこの貝殻を貝貨として用い、ニューギニアのモニ人は最近まで貨幣として使用していたという。(この項ジャパンナレッジ版『日本大百科全書』)

(32-2)<漢字の話>「牙」・・2010年改定の新常用漢字に「牙」(4画)が追加された。

現在、常用漢字になっていない漢字(以下、表外漢字)としての「牙」は、4画である。つまり、2画目の「ノ」と「一」を一気に1画で書く。
<「牙」を含む常用漢字の「牙」は、5画>
ところが、「牙」を含む常用漢字の画数は、1画増えた。つまり、2画目を二つに分解した。「ノ」と「一」を1画で書かず、2画に書くようになった。「常用漢字字体表」で画数が増えた例である。
たとえば、「芽」の脚部分の「牙」は4画から5画になった。その他、「雅」「邪」の「牙」の部分が5画になった。同様に「旡」(すでのつくり)部の「既」の旁が、4画の「旡」から、5画になった。常用漢字でも「牙」は4画、「牙」が偏旁にある漢字は5画という矛盾が発生している。
また、現在、表外漢字の「冴(さ)える」、「穿(うが)つ」、「訝(いぶか)る」、「谺(こだま)」、「鴉(からす)」の「牙」は、4画であり、これらの表外漢字と「牙」の字が偏旁にある漢字の画数(5画)が異なっている。

(32-5)「歳」<漢字の話>・・影印の「才」は、日本で、俗に、年齢をあらわす「歳」の代わりに使用される。したがって、テキスト翻刻では「歳」とする。

 「歳」は、太陽暦で、地球が太陽を一周する時間。太陰暦で、月が地球を一二周する間。年。

 なお、「才」は、生まれつきもっているすぐれた能力、資質。頭のはたらき。才能。才知。知能。また、そうした能力、資質のそなわった人。

(32-5)「わらは」・・童(わらわ)。稚児(ちご)より年長で、まだ元服しない者。10歳前後の子ども。童子。

(32-8)「心(こころ)ならず」・・不安でじっとしていることができない。気が気でない。

(32-8)「いたみ居(い)る」・・苦痛に思う。弱る。困る。

(32-10)「夜半(やはん)」・・夜の半分。つまり、よなか。まよなか。よわ。夜中(やちゅう)。

(32-11)「夜喰(やしょく)」・・「喰」を「しょく」と読むのは、「食」の通用語。なお、「喰」は、日本で出来た国字。

なお、ジャパンナレッジ版『日本歴史地名大系』の「南黒丸村(現石川県珠洲市宝立町南黒丸)」の項に、『角谷家文書』から、「寛政六年(一七九四)の払物帳には重箱・夜喰膳・盆などの塗物、徳利・皿・鉢などの焼物、鎌・たらいなどの金工品、柱・桶・戸障子・掛物軸などの木製品のほか、夜着・蒲団・畳」などがみえ、「夜喰膳」がある。

(33-3)「あら麦」・・荒麦。まだ精製しない、からのついたままの麦。

 *コムギ、オオムギは人類が農耕を始めたときからのもっとも歴史の古い作物であり、日本へもイネと同じかあまり遅れないころに大陸から伝来して、栽培が始められた。

 *<漢字の話>「麦」・・①「麦」は常用漢字。影印は、旧字体の「麥」。

  ②「麺」は常用漢字なので、偏は「麦」。旧字体は、「麵」。

  ③ところが、常用漢字でない「麩(ふ)」「麴(こうじ)」の偏は、「麦」ではなく、「麥」

  ④「麥」は11画の部首。また、「麻」(11画)、「黍(きび・12画)」も画数が多いのに、部首になっている。しかも、手元の漢和辞典では、部首を含め、「麥」部は、9字、「麻」は3字(国字の「麿」を除く)、「黍」は、3字しかない。紀元100121年に成立した中国最古の中国最古の漢字字書。『説文解字』は、1万余の漢字を540の部首に類別しているが、漢字を生み出した文明社会黎明期の黄河中流域の人々にとって、「麥」「麻」「黍」は、生きて行く上で、なくてはならない大切な植物であった。

(33-4)「鉄炮」<漢字の話>「炮」・・①「火」部。解字は、『説文解字』に、「毛のままにてを炙(あぶ)るなり」とあり、まるやきをいう。常用漢字ではないので、旁は、中は「巳」。

   ②一方、「砲」は「石」部で、いしゆみ。常用漢字なので、旁の中は、「己」。ただし、旧字体は、「巳」

(33-5)「分銅(ぶんどう・ふんどう)」・・重さを測る際の基準として使用する金属性のおもり。江戸時代、分銅

には十匁目から一分に至る十七種あった。「25貫」は、どんな分銅か。

(33-7)「革提煙草入(かわのさげたばこいれ)」・・ジャパンナレッジ版『日本大百科全書(ニッポニカ)』には、

 <刻みたばこを入れるための袋物。江戸時代初期のころは、刻んだたばこは白い奉書の紙に包むのが上品とされたが、屋外で働く人は手製の巾着(きんちゃく)に入れてきせるに結び、腰に提げた。また鉄砲の弾丸を入れた胴乱(どうらん)を改造して用いる人もあり、しだいに庶民の間に広がって上流階級にも及んだが、武士は印籠(いんろう)を提げるため懐中用を使っていた。たばこ入れの形には、

1)一つ提げ・・巾着または胴乱を根付(ねつけ)で提げるもの、

2)腰差・・巾着または胴乱にきせる筒をつけ、きせる筒で腰に差すもの、

3)提げ・・胴乱にきせる筒もあるが根付で別に提げるもの、

4)懐中用・・革製もあるが、おもに布製の二つ折りで、共裂(ともぎれ)のきせるを入れる袋がつき、婦人用が多い、

5)とんこつ 雨にぬれても中身のたばこが湿らないように木製と金属製があり、一つ提げと腰差形がある、

6)袂落(たもとおと)し 布または竹、籐(とう)で編んだ小さな袋2個を、鎖または紐(ひも)でつないで両方の袂へ肩から提げるが、一方の袋には懐中用の小形たばこ入れを、もう一方の袋には手拭(てぬぐい)などを入れる。たばこ入れはとかく置き忘れることが多いので、このようにさまざまな形があった。

 胴乱には金唐革(きんからかわ)、印伝革(いんでんがわ)が使われたが、これらは当時輸入品で高価なため、裕福な人たちのたばこ入れになった。庶民の多くは、一見革製にみえるが和紙に桐油(とうゆ)を塗ったり、渋(しぶ)を拭いて柿(かき)色に染め、革まがいにしわをつけたものを使っていた。江戸時代後期になると、国産の革製もできて、たばこ入れは身につける唯一のアクセサリーとなり、胴乱の蓋(ふた)に著名な彫金師のつくった留め金具を用いたり、きせる筒の材質にも凝るようになった。明治時代には胴乱、金具、緒締(おじめ)、筒の組合せに粋を凝らした工芸品もつくられたが、いまでは好事家の収集品になっているにすぎない。両切りたばこの出現とともに、金属製のシガレット・ケースにとってかわられている。>とある続きを読む

4月『蝦夷地見込書秘書』

 (9-1)「急度(きっと)御咎」・・「咎(とがめ)」は、罰。「急度」は、きびしく。厳重に。「急度咎」は、厳しい罰。なお、江戸時代の刑罰に「急度叱(きっとしかり)」がある。庶民に科せられた刑罰の一種。叱(しかり)の重いもので、厳重に叱責するだけで放免する軽刑。叱と同様、犯罪者本人だけでなく、連座した者にもしばしば科せられた。

(9-1)「御咎(おとがめ)被 仰付候(おおせつけられそうろう)」・・「被(られ)」と「仰付」の間に、空白がある。古文書独特の尊敬の体裁で、「欠(闕)字」という。

 *下は、等澍院文書に見る欠字・・4行目の「被」と「仰付」の間が5字も空けてある。

 【その他の尊敬の体裁】

 ◎「平出(へいしゅつ)」・・平頭抄出の略。文中に天皇または高貴の人の名や称号を書く時、敬意を表わすため、行を改めて頭に出し、他の行の頭と同じ高さに書くこと。

 ◎「台(擡)頭」・・貴人に関する語を敬意を表して改行し、普通より上に書くこと。ふつうは一字あげ、天

子に関する事柄は二字あげるのが通例。

(9-2)「枢要(すうよう)」・・かなめ。影印の「樞」は、「枢」の旧字体。

(9-4)「被差遣置」か、「被差遣」か。つまり、「置」は見せ消ちかどうか・・異本は、「被差遣」で、「置」はない。

(9-5)「調練(ちょうれん)」・・訓練を積むこと。

(9-6)「旋転(せんてん)」・・くるくると回ること。回転すること。

(9-8)「後来(こうらい)」・・こののち。ゆくすえ。将来。

(9-8)「急度(きっと)」・・きちんと。しっかりと。

(10-4)「必定(ひつじょう・ひちじょう)」・・確かなさま。決定的であるさま。

(10-4)「伏従(ふくじゅう)」・・服従。他人の意志または命令に従うこと。

(10-5)「一等」・・一等級か、または、副詞の「一段と。よりいっそう。」か。異本は、ルビに「本のママ」に作る。

(10-8)「越年為致△(候樣罷成候共、何レも妻子有之者共故、越年為致△)候儀も相成申間敷」・・下の△(1)は、挿入記号。(  )部分を読んで、上の△(2)に戻る。

 *異本は、(  )内の「越年」の前に、「連年」があり、「連年越年」に作る。この方が、文意が通じる。

(10-9)「与(と)」・・ここの「与(と)」は、変体仮名ではない。変体仮名の場合は、「よ」。「与」は漢文の二つの語を並列する中間の助字で、日本語の並列の助詞「と」に当るので、「与」を「と」と訓じた。

 *「富貴、是人之所欲也」(『論語』)   (とみ)(たっと)ハ、()レ人之欲スル所也」

(10-10)<漢字の話>「働」・・「働」は国字。ジャパンナレッジ版『字通』には、

 <働はわが国で作られた字で、労働の意に用いる。〔中華大字典〕に「日本の字なり。通じて之れを讀むこと動の(ごと)し」とみえる。>

 とある。

(10-11)「方今(ほうこん)」・・ただ今。また、近い過去から現在までを漠然とさしてもいう。現今。

(11-1)「石炭鉄炮等相開」・・異本は、「鉄炮」を「鉱坑」に作る。

(11-1)「輻湊(ふくそう)」・・「輻」は車の輻(や=車軸から放射状に出て車輪を支えている多数の棒。やぼね。)、「湊」「輳」はともにあつまる意。車の輻(や)が轂(こしき=車輪の中心の輻が集まる太く丸い部分。中を車軸が貫いている。)に集まるように、四方から寄り集まること。物が一所にこみあうこと。また、そのさま。

(11-1)「仕法(しほう)」・・物事のやりかた。仕方。手段。方法。

(11-1)「条下(じょうか)」・・文章の該当する部分。その箇所。

(11-2)「定貢」・・一本には、「貢」を「員」とし、「定員」に作る。

(11-3)「家眷(かけん)」・・同族の者。または一族の者とそれに付き従う者。一家眷族。

 *<漢字の話>「眷(けん)」・・①常用漢字でないので、1、2画は「ハ」。同様に、「倦怠」の「倦」も常用漢字でないので、1、2画は「ハ」

                    ②常用漢字になった「巻」「圏」「券」「拳」などは、旧字体の冠部分は、「ハ」だったが、「ソ」になった。

 (11-5)「已(すで)に」<漢字の話>・・

「己」・・キ・こ・(の声)・おのれ・つちのと(下に付き

「已」・・イ・すでに・(半ばして)・已(や)む・而已(のみ)

「巳」・・シ・み・(は皆付く

*「己(おのれ)」・「已(すでに)」して・「巳(へび)」

(11-6)「見合」・・読み方と意味は、どうですか。教えてください。

(11-8)「気請(きうけ)」・・気受け。他人がその人やその人の行動に対してもつ感情。世間の評判。うけ。

(11-10)「相厭(あいいとい)」・・きらい。いやがり。「相(あい)」は語調を整え重みを加える接頭語。「厭(いいとい)」は、「厭(いと)う」の連用形。

 *<漢字の話>「魘(えん)」・・「厭」+「鬼」で、おそろしい夢を見て、眠りながらおびえうめくこと。「夢魘(むえん)」

(11-10)「品に寄(より)」・・事情によって、場合によって。「品(しな)」は、物事の事情や理由。

 *「ことと品による」・・事柄や性質によって一概に決められない。事情や場合による。

(11-11)「奢侈(しゃし)」・・「奢」「侈」はともにおごる意。身分不相応なくらしをすること。度をこえたおごり。また、そのさま。ぜいたく。

 *<漢字の話>・・「奢」は常用漢字ではないので、脚の部分は、「者」に「ヽ(点)」が付く。

①常用漢字になり、「者」の「日」の上の「点(ヽ)」がなくなり、1画減った漢字・・「暑」「緒」「諸」「署」「著」「都」など。旧字体は、「者」の「日」の上の「点(ヽ)」があり、1画多かった。

②常用漢字ではないので、「者」の「日」の上の「点(ヽ)」がある漢字・・「楮(こうぞ)」「躊躇」の「躇」「儲(もうけ)る。など。

③ところが、2010年の常用漢字の追加で、「賭(か)ける」「箸」が加わったが、『康煕辞典』のまま、「者」の「日」の上の「点(ヽ)」がある。

(12-1)「不伏(ふふく)」・・不服。

(12-2)「領主」・・ここでは、松前藩主。

(12-2)「手限(てぎり)」・・その人の考えだけで処置すること。上役などの意見・指図も得ないで自己の判断で処理すること。

(12-3)「連々(れんれん)」・・引き続き。

(12-3)「御料所(ごりょうしょ)」・・江戸幕府の直轄地。御料。御領。天領。

(12-5)「御直人(おじきびと)」・・「じきさん(直参)」の敬称。主君に直接仕えること。また、その人。

(12-7)「差向(さしむき)」・・さしあたり。目下。とりあえず。

(12-7)「遁着(とんちゃく・とんじゃく)なく」・・頓着。気にかけない。無頓着である。

(12-8)「権道(けんどう)」・・手段としては道に外れるが、結果からみて道に合っている行きかた。目的を達するためにとる、臨機応変の処置。方便。

(12-8)「用弁(ようべん)」・・用事を弁じること。用事をすますこと。用事のすむこと。用の足りること。用便。

(13-2)「武備(ぶび)」・・戦いに対する備え。軍備。兵備。

(13-3)「折合」・・読みと意味は?

(13-3)「年柄(としがら・としから)」・・年。「柄」は、名詞の下に付いて、その物事の本来持っている性質、品格、身分などの意、また、それらの性質、品格、身分などにふさわしいこと、また、その状態の意などを表わす。「人柄」「家柄」「身柄」「続柄」「国柄」「場所柄」「声柄」「時節柄」などと用いられる。

(13-4)「夫食(ふじき・ぶじき)」・・主として江戸時代に用いられたことばで、農民の食糧のことをいう。江戸時代の農業経営、とりわけ下層農の農業経営は不安定であり、風水旱損、虫付などによる凶作、疫病の流行などによって、農民はしばしば食糧の不足に悩まされた。そうした場合、農民は領主に対して夫食や種籾、農具などの貸与を願い出た。一方、領主側も年貢収奪基盤である農民の経営の再生産を保障する必要性から彼らに一定度の夫食貸与を認めた。

 *「夫」・・労働に携わる人。「夫役(ぶやく・ぶえき)」「農夫」「漁夫」「樵夫(きこり)」など。

(13-7)「演砲(えんぽう)」・・砲術の訓練。

 *『演砲法律』・・江戸時代後期の医師で、久坂玄機(げんき)の書。オランダの砲術書『ベトロン』を訳した『演砲法律』がある。玄機は、文政3年生まれ。長門萩藩医学館の都講役を務めた。久坂玄瑞の兄。

(13-8)「遣料(つかいりょう)」・・物や場所の利用代として支払われる金。使用料。

(13-9)「仕付(しつけ)」・・作りつけること。

(13-9)「作取(つくりどり)」・・全収穫物を地主・耕作者のものとすること。江戸時代、新田開発などの際、開発直後からある一定期間は鍬下年季といって免税措置がとられていた。

(13-11)「必定(ひつじょう)」・・必ずそのようになるにきまっていること。必ず予測したとおりの結果になること。また、確かなさま。決定的であるさま。

『ふなをさ日記』3月学習の注 

(28-2)「熊程の何とも知れぬ獣もの」・・どんな動物か。

(28-3)「入りて」か「入(いら)ば」か、「入(いれ)ば」か。・・どちらか。異本は、「入れば」に作る。

 ①「入(いら)ば」・・接続助詞「ば」は仮定条件(モシ・・ナラバ)の場合は、未然形に接続するので、「入(い)る」の未然形は、「入(いら)」だから、「入(いら)ば」になる。

 ②確定条件(・・スルト)の場合は、已然形に接続するので、「入(い)る」の已然形「入(いれ)ば」となる。

(28-4)「はしごの下」・・どこか?

(28-4)「びゐどろ」・・ビードロ。ポルトガル語のVidroから。ガラスの別名。ジャパンナレッジ版『日本国語大辞典』の「ビードロ」の語誌には、

 <(1)一八世紀後半以降、板ガラスの技術が入ってくると、板ガラスを「ガラス」、ガラス器具を「ビードロ」と呼ぶ区別が生じた。一方、細工したガラス器を指すようになっていた「ギヤマン」が一九世紀にはガラス一般の意でも使われるようになったが、明治時代になると、「ガラス」が材料名として定着し、「ビードロ」「ギヤマン」は方言に残るほかは次第に使われなくなった。

(2)「硝子」という表記は、最初はビードロにあてたもので、後にガラスと読むようになったものである。>

 とある。

(28-5)「鳴子(なるこ)」・・小さい板に竹筒や鈴などをつるし、綱を引くと鳴るしかけの、人を呼んだり合図を送ったりするもの。

 (28-7)「休らふ」・・休む。休息する。「ヤスロー」と発音する場合もある。

(28-9)「バラノフ」・・ロシア人アレキサンダー・バラノフ。17471819。シベリアのイルクーツクで毛皮業をはじめ、さまざまな事業を経営し、さらにガラス工場を持っていた。1799年、ロシア・アメリカ会社の初代総支配人として1750名の集団を結成し、アラスカのシトカに上陸した。バラノフは先住民のトリンギット族を追いだし、シトカを制圧、ここを拠点に毛皮交易を展開し、シトカの黄金時代を作った。バラノフが館を築いた丘は、現在、キャッスル・ヒルと称され、公園になっている。

(29-1)「なべて」・・並て。副詞。動詞「なぶ(並)」の連用形に、助詞「て」の付いてできたもの。事柄が同じ程度・状態であるさまを表わす。すべて。総じて。一般に。概して。

(29-3)「曲(きょく)ろく」・・主として僧が法会などで用いる。背のよりかかりを丸く曲げ、四本の脚は牀几(しょうぎ)のようにX型に作ってあるもの。全体を朱または黒の漆で塗り、金具の装飾を施す。

(29-6)「せうぎ(ショーギ)」・・床几(しょうぎ)。

(1)室内で臨時に着席する際に用いる一種の腰掛け。脚を打違いに組み尻の当たる部分に革を張り、携帯に便利なように作ったもの。陣中や狩り場などでも用いられた。また、神輿の台などにも使用された。畳床几(たたみしょうぎ)。

(2)横に長く、数人腰掛けられるようにつくった簡単な腰掛け台。

 ここでは、(2)が妥当か。

(29-7)「地走」・・馳走。接待。「地」は、「馳」を通用させた字。「馳走」は、用意のためにかけまわる意から、心をこめたもてなし。特に、食事のもてなしをすること。饗応すること。あるじもうけ。接待。また、そのためのおいしい食物。りっぱな料理。ごちそう。

 *違った漢字でも、漢字の部分(偏とか旁)または全部の読みが同じ場合、その字を使うことがある。「通用字」といい、「当て字」と区別する。

①「鑛(鉱)」と「礦」、②「州」と「洲」など。

「悦」と「説」・・両方とも旁の読みを通用させ、「よろこぶ」と訓じる。

 *学而時習之 不亦説乎 (『論語 学而編』) 

学ビテ時ニ之ヲ習ウ、亦(また)(よろこば)シカラズヤ

(学問をして、それを機会あるごとに復習して身につけるのは、なんと喜ばしいことではないか)

(29-8)「ありく」・・歩く。ジャパンナレッジ版『日本国語大辞典』の見出し語「ありく」の語誌に、

 <上代には、「あるく」の確例はあるが「ありく」の確例はない。それが中古になると、「あるく」の例は見出しがたく、和文にも訓読文にも「ありく」が用いられるようになる。しかし、中古末から再び「あるく」が現われ、しばらく併用される。中世では、「あるく」が口語として勢力を増し、それにつれて、「ありく」は次第に文語化し、意味・用法も狭くなって、近世後期にはほとんど使われなくなる>とある。

 また、見出し語「歩く」の語誌には、

 <類義語「あゆむ」は一歩一歩の足取りに焦点をあてた語であるが、「あるく」「ありく」は足取りを超えて歩行移動全体に焦点が及ぶ。したがって、徒歩でなく、車に乗って移動するような場合にも用いられる。また、「あゆむ」が目標を定めた確実な進行であるのに対し、「あるく」「ありく」は散漫で拡散的な移動を表わすという違いも認められる。>とある。

 *<漢字の話>「歩」(8画)は、常用漢字になって画数が増えた・・旧字体は、点のない7画の「步」。

  同様に、常用漢字になって画数が増えた「歩」のある字に

①「交渉」「渉(わた)る」の「渉」・・旧字体の旁は「歩」でなく、点のない「步」。

   ②「頻繁」「頻(しき)り」の「頻」・・旧字体の旁は「歩」でなく、点のない「步」。

   ③「来賓」の「賓」・・旧字体の旁は「歩」でなく、点のない「步」。

  ところが、「瀕死」の「瀕」は、常用漢字でないので、真中は、点のない「瀕」

  *2010年改定の新常用漢字に追加された「進捗」の「捗」の旁は、旧字体のままで、「步」

(29-1030-3)「二人三人・・さまざまのふりをする也」・・異本は、この6行は、行頭をさげて、割注扱いをしている。本テキストは、29ページ9行目から3行のみ、行頭をさげている。30ページ1行~3行は、下げていないが、文の整合性を持たせるため、釈文は、行頭を下げることとする。

(29-9)「一所に」・・現在は多く「一緒」と書く。多く「に」を伴って副詞的に用い、一つになるさま。同じ行動をするさま。

(29-910)「行(ぎょう)きよく」・・行儀よく。異本は、「行」をかなで「ぎやう」とし、「ぎやうぎよく」に作る。

 (30-1)「上手(じょうず」・・物事にたくみなこと。その道にたくみで、すぐれていること。てぎわのよいこと。

 *江戸時代、囲碁・将棋の七段の別称。桃山時代に召し出された碁将棋衆を上手衆と言ったのがその始まり。江戸時代には免状は七段までで、上手に何子になったから何段を許すという形式を採り、上手になると外家(家元外)でも僧形になれば御城碁出仕を許された。

(30-1)「下手(へた)」・・拙劣であること。劣ること。手ぎわの悪いこと。語源について、ジャパンナレッジ版『日本国語大辞典』は、

(1)ウミヘタ(海辺)の義。沖の深いのに対して浅い意から〔嬉遊笑覧・和訓栞・言葉の根しらべ=鈴江潔子・大言海〕。

(2)下等の転か〔勇魚鳥〕。

(3)フエタ(不得手)の約〔菊池俗言考〕。

(4)ハタ(端)の義〔国語の語根とその分類=大島正健〕。

(5)碁の手からか〔諺草〕。>をあげている。

*「上手は下手の手本、下手は上手の手本」・・へたな者がじょうずな者を手本にしてくふうするのはもちろんだが、じょうずな者にとっても、へたな者のすることが参考になることをいう。

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