森勇二のブログ(古文書学習を中心に)

私は、近世史を学んでいます。古文書解読にも取り組んでいます。いろいろ学んだことをアップしたい思います。このブログは、主として、私が事務局を担当している札幌歴史懇話会の参加者の古文書学習の参考にすることが目的の一つです。

2014年05月

古文書解読学習会

          札幌歴史懇話会主催

私たち、札幌歴史懇話会では、古文書の解読・学習と、関連する歴史的背景も学んでいます。約100名の参加者が楽しく学習しています。毎月第2月曜日13時~16時・エルプラザ4階男女共同参画センター大  研修室で例会を行っています。古文書を学びたい方、歴史を学びたい方、気軽においでください。くずし字、変体仮名など、古文書の基礎をはじめ、北海道の歴史・民俗、学習しています。初心者には、親切に対応します。

参加費月350円です。まずは、見学においでください。初回参加者・見学者は資料代600円をお願します。おいでくださる方は、資料を準備する都合がありますので、事前に事務局(森)へ連絡ください。

◎日時:201469日(月)

13時~16時15分

◎会場:エルプラザ4階男女共同参画センター大研修室(札幌駅北口 中央区北8西3

◎現在の学習内容

①『ふなをさ(船長)日記』・・文化10(1813)末から1年半近く太平洋を漂流し、英国船に救助されてカムチャッカに送られ同13(1816)に送還された尾張の督乗丸の船長重吉の漂流談です。

『蝦夷地見込書秘書』・・安政元年(1864)、カラフトにおける国境見込地の調査と蝦夷地状況の視察に派遣された目付堀織部と勘定吟味役村垣与三郎(後、両名とも箱館奉行となる)の諸復命書。幕吏上川伝一郎、間宮鉄次郎、松岡徳次郎、松前藩士今井八九郎の報告も含む。

              

事務局 森 勇二(090-8371-8473)

メールアドレス moriyuzi@poem.ocn.ne.jp

『ふなをさ日記』5月学習の注 

(37-1)<変体仮名の話>「言ければ」の「け(介)」・・「介」を「け」とするのは、なぜか。「介」の呉音に「ケ」があり、万葉仮名でも「け」。しかし、一説に、①「介」の字母(漢字の音の基本となる文字)が「个(カ)」であるといい、「个」は、物や人を数える語で「箇」の同じとする。②「介」の部分からカタカナの「ケ」ができ、のち、変体仮名の「け」として使われるようになった。

(37-1)「明は」・・「明日の朝」で、「日の朝」欠か。異本には、「明日の朝は」とある。

(37-12)「とらの時」・・午前4時頃。

(37-4)「ねや(閨・寝屋)」・・寝室。

 *<漢字の話>「閨」・・ジャパンナレッジ版『字通』に、<アーチ形のくぐり戸のような門戸をいう。もと里中に設ける小門であった。〔爾雅、釈宮〕に「宮中の門、之れを闈(イ)と曰ふ。其の小なる、之れを閨(ケイ)と曰ふ」とあり、後宮に設けることが多い。のち閨房の意となる。のち閨房の意となる。>とある。
**「閨秀(けいしゅう)」・・才芸にすぐれた女性。

(37-6)<変体仮名の話>「違わず」の「わ(王)」・・「王」は漢音・呉音とも「オウ」であるが、変体仮名で「わ」とするのは、「王」の歴史的仮名遣いが「ワウ」であったことによる。

(37-6)「心を取て」・・人の気持を察して。

(37-7)<変体仮名の話>「計(ばかり)にて」の「に(丹)」・・①「丹」の解字は、「丹砂(たんさ)」(深紅色の鉱物)を採掘する井戸の象形。「ヽ」が丹砂をあらわす。「丹」は、国訓で「に」。万葉仮名でも「に」。「青丹(あおに)よし」など。

 ②「丹」の部首は、「ヽ」部で、「チュ」と発音する。「てん」部」、「ちょぼ」部とも。

(37-8)「いらぬ事」・・むだなこと。

(37-10)「安かるべし」・・「安し」は、らくらくと物事を行なうことができる。容易である。

(37-11)「偽(いつわ)り」・・うそを言う。だます。

(38-3)「冨家(ふうか・ふか・ふけ)」・・富裕な家。財産家。かねもち。

(38-5)「北より三人の目の女」・・異本のひとつには、「北より」を「此より」とある。

(38-6)「彼(かれ)」・・話し手、相手以外の人をさし示す。明治期まで男にも女にも用いた。ジャパンナレッジ版『日本国語大辞典』には、<明治以降、西欧語の三人称男性代名詞の訳語として、口頭語に用いられるようになった。明治以前は、人を指示する場合、男女を問わなかったが、明治以降に同じく訳語として定着していった「彼女」との間で、しだいに男女の使い分けをするようになったと考えられる。>とある。

 *「たそがれ」・・古くは「たそかれ」。「誰(た)そ(か)は」と、人のさまの見分け難い時の意。夕方の薄暗い時。夕暮れ。暮れ方。たそがれどき。また、比喩的に用いて、盛りの時期がすぎて衰えの見えだしたころをもいう。

 *「かわたれ」・・「()は誰(たれ)」の意。「かわたれどき」は、あれはだれだとはっきり見分けられない頃。はっきりものの見分けのつかない、薄暗い時刻。夕方を「たそがれどき」というのに対して、多くは明け方をいう。

(38-10)「念頃(ねんごろ)」・・懇ろ。心がこもっているさま。親身であるさま。

(39-3)「迎(むかい)」・・「迎」は、「向」か。異本は、「向い」としている。

(39-6)「包(つつま)ず」・・隠さず。「包む」は、かくすの意。

(39-7)「打わらひ」・・「うち」は接頭語。「打わらう」は、あざけり、おかしさ、よろこびなどの気持で、口をあけて笑い声をたてる。ふと笑う。

 *「わかき人は、ものをかしく、みな、うちわらひぬ」(『源氏物語・常夏』)

(39-8)「ま事(こと)」・・真事(まこと)。真実の事柄。事実。

 *「正真事(しょうまっこと)」・・まことを強めていった語。正真正銘であること。うそいつわりのないこと。また、そのさま。

(39-8)<変体仮名の話>「此国に」の「に(耳)」・・「耳」の漢音は、「ジ」だが、呉音では「ニ」。また、万葉仮名の「に」。

(39-9)「帰ることなかるべし」・・異本は、「帰ることなるべからず」としている。

(39-11)「まどひ」・・「惑(まど)ふ」の連用形。「惑う」は、考えが定まらずに、思案する。

(40-1)「言取(いいとり)たる」・・「言い取る」は、ことばで表現、伝達する。話し合う。

(41-1)「乱妨(らんぼう)」・・暴力を用いて無法に掠めとること。他人のものを理不尽に強奪すること。掠奪すること。

(41-1~2)「わきて」・・分て。別て。動詞「わく(分)」の連用形に、助詞「て」の付いてできた語。特に。格別に。とりわけ。わけて。わいて。

(41-6)「広東」・・中国南東部、広東省の省都現広州の旧称。

(41-6)「南京(ナンキン)」・・中国、江蘇(こうそ)省の省都。同省南西部の長江が北東から東へ流れを変える屈曲点に位置する。

(41-67)「かしこ」・・彼処。あそこ。本文では、広東、南京のこと。

(41-8)「廻り通(どお)し」・・「廻り遠し」か。「通」は、「遠」の当て字か。「廻り遠い」は、目的地の達するのに遠回りであること。

(41-9)「ヲホーツカ」・・オホーツク。現ロシア連邦東部、ハバロフスク地方の町。オホーツク海北西岸の漁港。、1647年に冬営地ができ、そこに1649年にコソイ小柵(しょうさく)(砦(とりで))が建設された。19世紀なかばまでロシアの太平洋岸の主要港で、カムチャツカ、千島、日本、アラスカなどへの探検隊の基地となった。

(41-10)「仙台の善六」・・善六は、仙台藩石巻の若宮丸(800石積)の水主で、ロシア漂着後、イルクーツクで洗礼を受けロシアに帰化した。ロシア名ミハイル・ジェラロフとか。若宮丸は、寛政5年(1793)1127日、仙台藩御用米を積んで江戸に向ったが強風のため漂流、寛政6年(1794510日、アリューシャン列島の無人島に漂着。その後オホーツクに到着、イルクーツクを経て首都ペテルブルクに到着した。享和3(1803)、世界一周をめざしたナデジタ号に、遣日使節レザノフが乗船し、日本への帰国を許された若宮丸の乗組員津太夫ら4名と通詞役として帰化した善六も乗船した。享和3(1803)616日、ナデジダ号は、バルト海のクロンシュタット港を出港、南アメリカを迂回して太平洋に出、ハワイを経てカムチャッカ半島のペトロハバロフスクに入港。帰国漂流民と善六のいがみ合いのため、善六は、ペトロハバロフスクで下船した。

 ナデジダ号は、文化元年(1804)96日、長崎に到着。津太夫らは、日本に帰還した。彼らは最初に世界一周した日本人である。

 さて、善六は、その後、文化10年(1813)ゴローニンを引き取りに箱館に来たリコルドの通詞として、20年ぶりに日本の土を踏んでいる。その後、善六は、イルクーツクに帰り、日本語教師を勤めている。文化13(1813)頃、イルクーツクで死亡したという。

5月『蝦夷地見込書秘書』注

(11-1)「石炭鉄炮等相開」・・『北蝦夷地御取締見込之儀荒増左ニ申上候』(『蝦夷地御開拓諸書付諸伺書類』所収=北海道庁刊『新撰北海道史第五巻史料一』所載。以下、『開拓諸書付』。)は、「鉄炮」を「鉄坑」としている。「鉄坑」は、鉱山のこと。

 (11-1)「輻湊(ふくそう)」・・「輻」は車の輻(や=車軸から放射状に出て車輪を支えている多数の棒。やぼね。)、「湊」「輳」はともにあつまる意。車の輻(や)が轂(こしき=車輪の中心の輻が集まる太く丸い部分。中を車軸が貫いている。)に集まるように、四方から寄り集まること。物が一所にこみあうこと。また、そのさま。

(11-1)「仕法(しほう)」・・物事のやりかた。仕方。手段。方法。

(11-1)「条下(じょうか)」・・文章の該当する部分。その箇所。

(11-2)「定貢」・・『蝦夷地廻浦録(えぞちかいほろく)』(北海道大学附属図書館蔵。以下『廻浦録』)、『開拓諸書付』とも、「定員」としている。

(11-2)「為致(いたし)候ハゝ」・・①「致させ候ハゝ」②「いたし候ハゝ」。「為」は、「致す」を強調する語。「致す」は、サ変動詞「為(す)」の謙譲語・丁寧語。「為致」の2字で、「いたす(いたし)」と読む。『開拓諸書付』は、「致し候ハゞ」としている。

(11-3)「家眷(かけん)」・・同族の者。または一族の者とそれに付き従う者。一家眷族。

(11-5)「已(すで)に」<漢字の話>・・

「己」・・キ・こ・(の声)・おのれ・つちのと(下に付き

「已」・・イ・すでに・(半ばして)・已(や)む・而已(のみ)

「巳」・・シ・み・(は皆付く

*「己(おのれ)」・「已(すでに)」して・「巳(へび)」

(11-6)「見合」・・読み方と意味は?

(11-8)「気請(きうけ)」・・気受け。他人がその人やその人の行動に対してもつ感情。世間の評判。うけ。

(11-8)「衰微(すいび)」・・おとろえ弱ること。衰退。

(11-10)「相厭(あいいとい)」・・きらい。いやがり。「相(あい)」は語調を整え重みを加える接頭語。「厭(いいとい)」は、「厭(いと)う」の連用形。

 *<漢字の話>「魘(えん)」・・「厭」+「鬼」で、おそろしい夢を見て、眠りながらおびえうめくこと。「夢魘(むえん)」

(11-10)「品に寄(より)」・・事情によって、場合によって。「品(しな)」は、物事の事情や理由。

 *「ことと品による」・・事柄や性質によって一概に決められない。事情や場合による。

(11-11)「奢侈(しゃし)」・・「奢」「侈」はともにおごる意。身分不相応なくらしをすること。度をこえたおごり。また、そのさま。ぜいたく。

 *<漢字の話>・・「奢」は常用漢字ではないので、脚の部分は、「者」に「ヽ(点)」が付く。

①常用漢字になり、「者」の「日」の上の「点(ヽ)」がなくなり、1画減った漢字・・「暑」「緒」「諸」「署」「著」「都」など。旧字体は、「者」の「日」の上の「点(ヽ)」があり、1画多かった。

②常用漢字ではないので、「者」の「日」の上の「点(ヽ)」がある漢字・・「楮(こうぞ)」「躊躇」の「躇」「儲(もうけ)る。など。

③ところが、2010年の常用漢字の追加で、「賭(か)ける」「箸」が加わったが、『康煕辞典』のまま、「者」の「日」の上の「点(ヽ)」がある。

(12-1)「不伏(ふくさざる)」・・『開拓諸書付』は、「不伏」と返読している。「伏(ふく)す」は、従う、降伏する、屈伏するの意。

(12-2)「領主」・・ここでは、松前藩主。

(12-2)「手限(てぎり)」・・その人の考えだけで処置すること。上役などの意見・指図も得ないで自己の判断で処理すること。

(12-3)「伋而(よって)」・・だから。であるから。したがって。普通は、「依而」とする場合が多い。『開拓諸書付』、『廻浦録』とも「依而」としている。

(12-3)「連々(れんれん)」・・引き続き。

(12-3)「御料所(ごりょうしょ)」・・江戸幕府の直轄地。御料。御領。天領。

(12-5)「見据(みすえ)」・・見てはっきりと判断する。見定める。見込む。

(12-5)「御直人(おじきびと)」・・「じきさん(直参)」の敬称。主君に直接仕えること。また、その人。

(12-7)「如何(いか)にも」・・①程度、状態のはなはだしいことを確かにそうであると確認している意を表わす。強く肯定して、強めていう。どうみても。まことに。まったく。おおいに。②(感動詞のように用いて)相手のことばをうけ、肯定、同意する応答のことば。たしかに。なるほど。まさしく。その通りだ。

(12-7)「差向(さしむき)」・・「差向く」の連用形。(「さし」は接頭語)直面する。当面する。

(12-7)「遁着(とんちゃく・とんじゃく)なく」・・気にかけない。無頓着である。「遁着」は、頓着。

(12-8)「権道(けんどう)」・・手段としては道に外れるが、結果からみて道に合っている行きかた。目的を達するためにとる、臨機応変の処置。方便。

(12-8)「用弁(ようべん)」・・用事を弁じること。用事をすますこと。用事のすむこと。用の足りること。用便。

(12-11)「請負町人(割注略)被差置」・・『開拓諸書付』は、「請負町人」と「被差置」の間に「之手附ニ」があり、請負町人(割注略)之手附ニ被差置」とある。『開拓諸書付』の方がわかりやすいか。

(13-2)「武備(ぶび)」・・戦いに対する備え。

(13-3)「年柄(としがら)」・・「柄」は、接尾語。名詞の下に付いて、その物事の本来持っている性質、品格、身分などの意、また、それらの性質、品格、身分などにふさわしいこと、また、その状態の意などを表わす。「人柄」「家柄」「身柄」「続柄」「国柄」「場所柄」「声柄」「時節柄」などと用いられる。

(13-4)「夫食(ふじき)」・・主として江戸時代に用いられたことばで、農民の食糧のことをいう。江戸時代の農業経営、とりわけ下層農の農業経営は不安定であり、風水旱損、虫付などによる凶作、疫病の流行などによって、農民はしばしば食糧の不足に悩まされた。そうした場合、農民は領主に対して夫食や種籾、農具などの貸与を願い出た。一方、領主側も年貢収奪基盤である農民の経営の再生産を保障する必要性から彼らに一定度の夫食貸与を認めた。 

*「夫」・・労働に携わる人。「夫役(ぶやく・ぶえき)」「農夫」「漁夫」「樵夫(きこり)」など。

(13-7)「演砲(えんぽう)」・・砲術の訓練。

 *『演砲法律』・・江戸時代後期の医師で、久坂玄機(げんき)の書。オランダの砲術書『ベトロン』を訳した『演砲法律』がある。玄機は、文政3年生まれ。長門萩藩医学館の都講役を務めた。久坂玄瑞の兄。

(13-8)「遣料(つかいりょう)」・・物や場所の利用代として支払われる金。使用料。

(13-9)「仕付(しつけ)」・・作りつけること。

(13-9)「作取(つくりどり)」・・全収穫物を地主・耕作者のものとすること。江戸時代、新田開発などの際、開発直後からある一定期間は鍬下年季といって免税措置がとられていた。

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