64-1)「四拾三人」・・異本(『北蝦夷地御場所江異国人上陸ニ付見分御届書』)では、「四拾六人」としている。

64-7)「右之外近所住居罷在候処」・・異本では「右之外遠近所々住居罷在候蝦夷人共弐百五十九人クシユンコタン外四ケ所漁場働いたし罷在候処」としている。

64-8)「愚昧(ぐまい)」・・愚かで道理にくらいこと。また、そのさま。

64-8)「驚動(きょうどう)」・・驚き動揺すること。驚きさわぐこと。

64-9)「差而(さして)」・・副詞。「然して」。(動詞「さす」の連用形に助詞「て」のついた形から、下に打ち消しの語を伴って)、「それほどでも~ない」の意。

6410)「一通(ひととおり)」・・はじめから終わりまでざっと。ひとあたり。

64-1)「生立(おいたち)」・・生まれながらの性質。生まれつき。

65-1)「不相開(あいひらかず)」・・「開く」は「啓く」と同義で、暗愚を解消するの意。

65-1)「一図(いちず、いっと)」・・「一途」とも。一つのことだけに打ち込むこと。ひたむき。ただそればかり。

65-2)「存込(ぞんじこみ)」・・動詞「存込む」の連用形。「存込む」は「思い込む」の謙譲語。

65-2)「解兼(ときかね)」・・動詞「解く」の連用形+動詞「兼ねる」の連用形。「解く」は、人の気持ちをほぐす。気持ちや感情をやわらげる。「兼ねる」は動詞の連用形について、「~しようとしてもできない。~することに堪えられない」の意。

     したがって、気持ちや感情を和らげることができない状態をいう。

65-2)「風俗(ふうぞく)」・・日常生活上のしきたり。ならわし。

65-2)「本蝦夷地」・・蝦夷島(北海道)の内、道南の松前、箱館近在の松前地(和人地、シャモ地とも。)を除く、東蝦夷地と西蝦夷地を指す。なお、蝦夷地一円(松前地、東・西蝦夷地)は、明治二年(1869)八月十五日、「北海道」に改称され、11国86郡に画定された。

65-3)「上国(じょうこく)」・・文化の進んだ、優れた国。また、豊かな国。元来は、令制で、国を管郡数・戸口数などにより四等級に分けたその第二位の国の称。山城・摂津など。大国・中国・下国に対していう。

65-3)「風意(ふうい)」・・ならわしと考えかた。

65-4)「北蝦夷地」・・樺太島。奥蝦夷とも。幕府は、文化六年(1809)六月、「樺太島をいご北蝦夷地と唱えるべき旨を命じ」(松田伝十郎著『北夷談』)、明治二年(1869)八月、北蝦夷地を樺太と改称(『北海道史』)。なお、𠮷田著『大日本地名辞書』では、「文化六年、幕府の北辺経営にあたり、唐太を改号して北蝦夷と曰ふ。幕府公文書多く之を用ゐしも、爾餘には、カラフトと幷び行はれたり。」、「文化以前には、~ 東西両海岸に分ちて、その北岸なる(今北見国)地方にも泛称したり。~ 奥蝦夷といふ。」とある。  

65-4)「纔(わずか)」・・<漢字の話>『字通』の解字に<「纔は淺きなり。読みて讒(ざん)の若(ごと)くす」という。色の浅いことから、「わずか」の意があるとするものであろう。>としている。

     また、ジャパンナレッジ版『日本国語大辞典』は、同訓異字として、次のようにある。

     【僅】(キン)ほんのすこし。すこしばかり。特に、数が少なくわずか。「僅差」「僅僅」「僅少」《古わずかに・すくなし・ほとんど》

【纔】(サイ・サン)色のまじったきぬ。転じて、どうにかこうにか足りるくらい。かろうじて。やっと。特に、量がわずか。どうにか。かつかつ。《古わつかに・わづか・つひに》

【才】(サイ)「纔」に同じ。《古わづか》

【些】(サ)ふぞろいに並べる。転じて、いささか。いくらか。すこし。「些細」「些事」「些少」「些末」

【涓】(ケン)しずく。小さい流れ。転じて、量がきわめてわずか。ほんの少し。「涓涓」「涓埃」《古みづたまり・あひだ・あはひ》

【財】(ザイ)価値あるもの。たから。転じて、「纔」に同じ。「財足」《古わづかに》

【毫】(ゴウ)細い毛。転じて、ごくわずか。ほんのすこし。ちょっぴり。「毫末」「毫毛」「一毫」「白毫(びゃくごう)」《古ふむで・ふで》

【錙】(シ)古代中国で重さの単位。転じて、目方がわずか。価値があまりない。また、物事がこまかくかすか。微細だ。「錙銖(シシュ)」

65-4)「而己(のみ)」・・副助詞。他を排除して、ある事柄だけに限定する意を表す。現代語では「のみ」に相当する助詞として、一般に「だけ」、「ばかり」の語が用いられる。

     *「而己」・・漢文の助辞。漢文では、文末におかれて限定・強意を表す。「のみ」と訓じる。「~だけである」「~にすぎない」の意味。「而己」よりさらに語気が加わった「而己矣」がある。

     夫子之道   夫子(フウシ)のみち、

     忠恕而己矣  忠恕(チュウジョ)のみ。  (『論語 里仁』)

     (先生の説かれる道は、まごころのこもった思いやり、ただそれだけである)

     *古田島洋介氏は、『日本近代史を学ぶための文語文入門 漢文訓読体の地平』(吉川弘文館 2013)のなかで、「のみ」は、「啻(ただ)に」や「独(ひと)り」と組み合わさって限定の意味であるが、「~なのである」と強調の意にもなることを念頭に置くべきと論じている。

 

65-4)「漁業働人足(ぎょぎょうばたらきにんそく」の「働」・

    *<漢字の話>「働」・・①国字。中国でも使用された。『字通』には『中華大字典』を引いて、「日本の字なり。通じて之れを読むこと動の若(ごと)しとみえる。」とある。

②解字は「人が動く。はたらくの意味を表す」(『新漢語林』)。なお、旁の「動」について、『字通』は「農耕に従うこと」とあり、「力は耒(すき)の象形。童僕が耒を執って農耕に従うことをいう」とある。『新漢語林』は、「力+重。おもい喪のに力を加えて、うごかすの意味を表す」とある。

65-5)「僻(へき、ひが、ひがみ)」・・「僻」は、ひがむこと。素直に見ないで、疑い曲解すること。また、その見解。異本は、「仕癖」とある。

65-5)「妄(もう)し」・・「妄」は、つつしみのないこと。みだりなこと。また、真実でないこと。また、そのさま。異本は「安(やすん)じ」とある。

65-5)「別而(べっして)」・・とりわけ。特別に。

65-5)「偏国(へんこく)」・・都から遠い国、地方。偏境。

65-5)「領主」・・松前藩主。

65-6)「専要(せんよう)」・・極めて重要なこと。またそのさま。肝要。

65-6)「儀」・・異本は「哉」としており、こちらの方が文意に添うか。

65-6)「仕置(しおき)」・・江戸時代、罪人を処罰すること。また、その刑罰。

65-7)「咎(とがめ)」・・非難。処罰。罰。

65-8)「追放刑」・・石井良助著『江戸の刑罰』(中公新書)によると、徳川幕府が、寛保二年(1742)に制定した『公事方御定書』で定めた追放刑としては、「門前払、所払(ところばらい)、江戸払、江戸十里四方追放、軽追放、中追放、重追放」であったとする。

     <参考> 「追放刑の概要」(『江戸の刑罰』より抜粋)

    「門前払」-奉行所の門前より追い放つもの。多く無宿者について行う。

    「所払」-古く「追払」。在方の者はその居村、江戸および市街地の町人はそ居        

        町への立入禁止。京都では「洛中払」となる。その犯罪が利欲にかかるとき、田畑、家屋敷が闕所。年貢の未進などがあるときは家財も闕所。

    「江戸払」-品川、板橋、千住、本所、四谷大木戸の内より追い払う。

    「江戸十里四方追放」-日本橋から四方五里外に追放。在方の者はその居村も御構

え(おかまえ)となる。闕所は「江戸払」に同じ。

    「軽追放」-江戸十里四方、京、大坂、東海道筋、日光、日光道中を御構地とする。

          現居住国及び罪を犯した国も御構地とされる。田畑、家屋敷は闕所。 

    「中追放」-武蔵、山城、摂津、和泉、大和、肥前、東海道筋、木曽路筋、下野、日光道中、甲斐、駿河を御構地とする。現居住国及び罪を犯した国も同様。

        田畑、家屋敷が闕所(没収刑のこと)。

「重追放」-関八州(武蔵、相模、上野、下野、安房、上総、下総、常陸)、山城、大和、摂津、和泉、肥前、東海道筋、木曽路筋、甲斐、駿河を御構地とする。京より放つ場合には、このほかに、河内、近江、丹波の三国を加える。

        現居住国及び罪を犯した国も同様。この外、田畑、家屋敷が闕所となるほか、家財も没収される。

65-8)「山越(やまごえ・やまこし」・・越山。松前藩における追放刑のひとつ。越山の地は、基本的には、和人地の東境石崎村と和人地蝦夷地の境界をはさんで相対する小安村を例外とし、他のすべては境界に隣接する和人地集落である。

65-9)「村方(むらかた)」・・江戸時代、町方に対して農村、山村、漁村をいう。この外、村に関係する物事や人(村方三役)を指す場合がある。

65-9)「構(かまい・かまえ)」・・江戸時代の一種の追放刑。範囲を定め、その居住地から追放するもの。特定地域から排除する場合と、特定団体・社会関係から排除する場合とがあった。後期幕府法においては、刑名はおもに追放、払(はらい)の語を用い、立入り、居住制限区域をとくに御構場所(おかまいばしよ)と呼んでいた。

     『松前町史』には、「当国構」(松前藩領からの追放)、「三ヶ所御構」(松前城下・箱館・江差市中より追放)がある。

     *「おかまいなし」・・処分しない、おとがめがないこと。

65-9)「山を越放し遣シ候仕来」・・松前藩で行われていた追放刑としての「越山」。

65-1)「追而(おって)」・・のちほど。近いうちに。

65-1)「相詫(あいわび)」・・「相(あい)」は接頭語。「詫び」は、上二動詞「詫(わ)」ぶ」の連用形。あやまる。謝罪する。同源の語に「イ」偏の「侘(わび)」があり間違いやすい。「詫びる」は、本来は、あざむく、ほこるの意で、わが国でわびるの意が強い。「侘びる」は、日本では、古くから失意・失望・困惑の状態・動作を表す文字として用いられる。「侘(わび)」は、俳句・茶道などの最高の理念。

66-2)「瑕物(きずもの)」・・(商品など)傷のついた品物。

66-5)「骨折(ほねおり)」・・精を出して働くこと。苦労すること。

66-5)「奇特(きとく)」・・がけや行ないが普通よりもすぐれていて、ほめるべきさま。

66-6)「賞誉(しょうよ)」・・ほめたたえること。ほめること。称賛。

66-6)「往々(おうおう)」・・そうした場合がよくあるさま。ともすれば。おりおり。

66-6)「左候得(さそうらえば)」・・「左」は副詞、「然」と同義。前に示されていることを受けて、その事態を示す語。「そう。そのように」の意。したがって、この場合は、「そうであるならば」の意。

66-6)「罪科(ざいか)」・・法律、道徳に背いた罪。

66-7)「准(じゅん)じ」・・サ変動詞「准ず」の連用形。ある根拠に従う。のっとる。

         *<漢字の話>「准」・・「准」は、「準」の俗字であるが、常用漢字になっている。法律用語の「批准」、また「准尉」(旧陸軍の階級のひとつ)、平成19年(2007)の「学校教育法」の改正で、「助教授」が、「准教授」に変更されたこと、最近では、日本老年学会が6574歳を「准高齢者」とする提言を発表した。

66-7)「公示(こうじ)」・・おおやけに示すこと。一般に知らせること。異本は「公平」としており、こちらの意味が文意に添うか。なお、「公」の前が空白なのは、「公」を尊敬した欠字。

     *「公(おおやけ)」・・「やけ」は「家・宅」。「おおやけ」の原義は、大きな家。広壮な貴人の邸宅の意から、最高権力者としての天皇が住む宮殿をさすことになり、やがてそこに住む天皇を、さらには朝廷、政府、国家、社会をさす語へと変化していったものと考えられる。

66-8)「異国~犯罪」・・「異国相抱(拘)犯罪」の代表的なものは、①日本人の海外渡航禁止②帰国禁止。③切支丹宗の信仰禁止。④密貿易(抜け荷)の禁止。

66-8)「可被処候(しょせらるべくそうろう)」・・「被」は、最頻出の重要語。受け身や尊敬の意をあらわし、上に返って読む。極端にくずされると「ら」や「ヒ」に近くなる。

66-9)「退帆懸(たいはんかかり)」・・この場合の「懸」は、関係ないし関連して。際しての意。

65-9)「宥恕(ゆうじょ)」・・寛大な心で許すこと。見逃してやること。

6610)「差構(さしかまい)」・・名詞。さまたげになること。差し支えること。

6610)「生質(せいしつ・しょうしつ・ひととなり)」・・生まれつきのたち。もって生まれた気質。

67―1)「善悪之差別(ぜんあくのさべつ)」・・善と悪の区別。

67-3)「日数(ひかず、にっすう)」・・日にちの数。

((67-3)「手鎖(てぐさり、てじょう)」・・刑具の一つ。手錠。手かせ。自由な行動を束縛するもの。ここでは、比喩的表現として「制限、あるいは制約すること」の意に用いられているか。

67-3)「引替(ひきかえ)」・・取り替わること。交代すること。

67-3)「異言(いげん)」・・異なった言葉や話。ここでは、蝦夷人の言葉。

67-3)「相弁(あいわきまえ)」・・「弁える」は、道理を理解する。十分承知をする。

67―4)「人気(じんき、にんき)」・・世上の人の気受け。その地方一帯の人々の気風。

67-4)「旬季(じゅんき)」・・物事を行うに順当な気候、季節。

67-5)「彼是(かれこれ)」・・副詞。いろいろ。あれやこれ。何やかや。

67-6)「旁以(かたがたもって)」・・接続詞。いずれにしても。どのみち。

67-6)「即今(そっこん)」・・ただいま。今。

67-6)「遂吟味(ぎんみ(を)とげ)」・・「遂吟味」と返読。罪のあるなしや罪状の取り調をやりとげる。詮議をきちんとやりとげる。

676.7)「吟味詰(ぎんみづめ、ぎんみつまり)」・・罪状の取調の最終段階のところ。詮議の大詰めのところ。

67-7)「何歟(なにとか、なんとか)」・・どうやら。まずまず。あれやこれや。

67-8)「至迄(いたるまで)」・・場所や時期、人などに行き着くまで。

67-8)「篤与(空字)御国法」・・「篤与」と「御国法」の間の空字は、欠字。

67-9)「賞罪(しょうざい)」・・異本は、「賞罰」。

67-9)「掲示(けいじ)」・・人目につきやすい所に掲げ示すこと。また、示された文書。

     <参考>「江戸時代、江戸市中における法令などの伝達、周知の方法」

          ~楠木誠一郎著『江戸の御触書』から抜粋 

      ① 老中からの「惣触」や町奉行からの「町触」は、「町奉行→(文書)→町年寄→(文書)→名主(なぬし)・月行事(がちぎょうじ)→(文書)→家主(いえぬし)→(口頭)→店子(たなこ)」の経路で伝達、周知。

② 「惣触」や「町触」の中でも、特に幕府が重要とするものは、高札場(大高札場と高札場)に「高札」を出して掲示し、周知。

  ・「大高札場」(日本橋南詰、常盤橋門外、筋違橋門内、浅草橋門内、麹町半蔵門外、芝車町の六ケ所)には、キリシタン禁令、火付の密告、人足の駄賃に関するものが常時掲示。

  ・「高札場」(江戸市中三十五ケ所)には、上水、橋梁、塵芥(じんかい)などその場その場に見合う内容のものが掲示。

 ③ ①で、店子に口頭で伝達された「町触」などが忘れられないように、町々の木戸、自身番屋、路地口、名主宅前などに貼られることもあった。

67-9)「沙汰(さた)」・・(主君、官府などの)裁定。差図。指示。また、それを伝える

知らせ。

67-9)「可然(しかるべし)」・・連語。適当だ。時宜を得ている。